令和5年10月7日 映画「二十歳に還りたい」を観て
私の数少ない趣味は、映画、読書、ウォーキングです。良い映画に出会うと心がほっこりし、良い小説に出会うと心が温かくなります。ウォーキングでしっかりと汗を流すと好きなビールが美味しくなります。
今まで随分と多くの映画を観て来ましたが、忘れられない映画が幾つもあります。その中の数本を紹介します。
1つ目の映画はビングクロスビーの「5つの銅貨」です。
多分私が小学生の時に見たのではないかと思います。
ジャズミュージシャンの主人公が娘の病気を治そうと音楽を止めてしまいますが、あるきっかけからもう一度ミュージシャンの道に戻る話です。私は何度も観て感動しまくりでした。
2つ目の映画は、「バックトゥザフューチャー」です。
昔からタイムマシンや過去に遡ってしまうような物語が好きでした。
小田原の映画館オリオン座に何気なく観に行き、何も知らずに偶然見たのが「バックトゥザフューチャー」でした。タイムトラベルの斬新なストーリーに感動しました。
3つ目の映画は、「ターミネーター」です。
未来から来た不死身のロボットが主人公を追い詰めていくのを見て驚嘆しました。
ロボット役のシュワルツェネッガーが凄い迫力で、続編が作られることを期待して映画館を後にしました。
4つ目の映画は、「クリフハンガー」です。
ロッキーで一躍スターの仲間入りしたシルベスター・スタローンが主役でしたが、4000メートルの高山でレスキューの仕事をしていました。映画の冒頭で恋人を助けられず死なせてしまうシーンが手に汗握る圧巻の映像でした。
5つ目の映画は、「素晴らしき哉、人生」です。
1946年の白黒映画ですが、ジェームスステュアートが主役でした。
人生に絶望した主人公が死のうとして川に飛び込むと天使に助けられる。自分がいなければ、皆、しあわせだろうと自殺を図ったのですが、天使が「君がいない世を見せてあげよう」と主人公の存在しない世に送ります。その世界は悲惨で荒んだ世界でした。主人公は真実に気づき、神に元の世界に戻れるよう祈りました。その結果、主人公はどうなったのか、名作中の名作です。一見の価値あり映画です。
以上、私が観て来た映画のほんの一部です。
今回、お客様から鑑賞券をいただき、「二十歳に還りたい。」を観て来ました。
見終わった時、勧めていただいたお客様に感謝しました。
私は現在69歳です。人生の終盤に来て、人生をふり返ることも少なからずあります。気づいたら69歳、こんなに長く生きられるとは思いもしませんでした。なぜなら、父が37歳の若さで倒れ、44歳で他界したからです。
映画のストーリーは、老人施設で孤独な毎日を送っている老人が、ボランティアで訪問してくる二十歳の女子学生のお陰で二十歳になり、人生をやり直すというものです。人は、過去をふり返って、あの時、こうしていれば良かった、ああすれば良かったと後悔をすることがあります。主人公のおじいさんは、一代で上場会社を創りあげ、経営の神様とも言われた人でした。しかしながら、自らの生き方が家族を遠ざけ、失い、孤独になってしまったのです。
妻はガンになり早逝し、長男は父親の愛情を感じられず海外に行ったきり、次男は音楽という好きな道を歩み、長女は父親の言葉に失望し交通事故死、再婚後の妻は財産目当てと言われ子供達とも折り合いが悪く離婚しました。二十歳に戻って多くの経験をするうちに家族の気持ちが分かるようになり、自らの言動が如何に悪かったかを恥じたのです。後悔先に立たず。いま、孤独なのは自らの生き方が招いたのだとわかり、主人公は二十歳からやり直していくのでした。
二十歳にもどってから何日かして夢の中で未知なる者の声が聞こえます。
「今の人生を生きていきたいのなら、30歳までの10年間は結婚をしてはいけない。結婚の承諾もしてはいけない。もし破れば、すべてを失う」と告げられます。この言葉を守り続けて職業人生で成功しますが、30歳の手前で愛する人を救うために告白してしまいます。そして主人公の運命は…どうなるのか。
ネタバレになってしまうので、ストーリーはここまでですが、人生ってこうだよな、良いよな、生き方が大事だよな、と静かに心に染み入る結末を迎えます。
人生は一度限りと思っていますが、二度あるならどんな人生を歩みたいか、もう一度このままの自分で若くなれるなら、良き人生を歩みたいと思うのではないでしょうか。この映画は、人生で大切なことは何かを教えてくれる、生きていくことは無償の愛に生きること、人を愛し生かし許すこと、という人生の素晴らしいエッセンスが散りばめられています。
大切な家族、友人、出会ったすべての人々に感謝をしたくなる、そんな映画です。