陶芸家・橋村一彦先生の高知放送出演

高知県四万十市で活躍されている陶芸家・橋村一彦先生(現代美術家協会本会員)が、この度、RKC高知放送の公式番組「MY CHANGE」に出演されました。先生は、当社の代表鍋島一博の、神奈川大学法学部時代の同期だった方です。当時、レポートの書き方などを親切に教えてくれ、いろいろなことを語り合った良き学友であり親友であり、人生の先輩でもあります。

以下、MY CHENGEに取り上げられた内容を抜粋してご紹介します。

先生は、1947年土佐清水市に生まれました。中学卒業後、大阪の電線を作る工場で働きはじめ、6年目の21歳の時、仕事中に足の踵を焼けた銅が貫通する大事故に遭われ、それが人生を変える契機となったそうです。

入院中に、「自分は何のために生まれてきたのか」を考え始め、自分の生き方を問い直すこととなりました。その時、ある人が持ってきた一冊の本、デカルトの「方法序説」に深い衝撃を受けました。方法序説は、「考える私」を出発点に、近代の新しい私の在り方を書いたものです。「われ思うゆえにわれあり」という有名な一説がこの本にあります。自分とは何かを理解するには思考で解決するしかない、ということに気づかされたのがこの本の大きな意味であり、哲学との出会いでした。それから一念発起して22歳で清水高校に入学、その後神奈川大学に進学して教員免許を取得、卒業後は四万十市で30年間教員を勤められました。

もう一つの転機は、陶芸との出会いでした。橋村先生が陶芸を始めたのは、教員時代の31歳の頃、後に先生の奥様となられる陶芸家のるみ先生と知り合ったことがきっかけです。自分を追求するために陶芸を自分の自己表現として追い求めていくと、あの病院のベッドの上で考えた「橋村和彦、あなたって誰」の答えが見つけられるのではないか。陶芸と向き合うことは「私とはだれか」の答えを出すための大事なプロセスになるそうです。

橋村先生はるみ先生と共に四万十市で「陶・アトリエねねむ」という工房を構えていらっしゃいます。国内最大の総合美術展覧会「日展」で9回入選されているという素晴らしい実績をお持ちです。作品のテーマは「命の賛歌」。作品作りを通して人生は何かを問い直し、自らの考えや思いを発信し続けておられます。自分の持っている命を精一杯発揮して、そして今をよりよく生きること、それが人間の生き方であると先生は仰います。最近制作された「不連続の連続」という作品は、継続的に制作されているもので今回シリーズ3作目。抽象的な曲線を描いたこの作品では、内側にあるものは、「乗り越えていこうとする自分」、外側は「自分を育ててくれた様々なことがら」を意味しているそうです。この今をよりよく生きるためには今まで自分を培ってくれた人たちを超えていかなければいけない。そういうことがテーマの作品だそうです。

今変わりたいと思っている人たちへ、橋村先生は「まだ見ぬ自分を求めて」というメッセージを発信されました。

「可能性というのは自分の前に広大な海になって広がっていると思う。そこに船出をしてもらいたい。今をよりよく生きていくこと、それをするためにはどのようなことをやっていけばいいか。という未来的な思考の中で物事を考えて、果敢に挑戦してもらいたい。それが生きていく人間の可能性を探していくことの根本ではないかと思う。」

先生の特集は、添付のYouTube番組よりご覧いただけます。ぜひご覧いただき、人生の道しるべとしていただけたらと思います。

橋村るみ先生
現代工芸美術家協会 本会員

・1951年生
・多摩美術大学 絵画科卒業 藤﨑秀雄教授の指導を受く
 同大学院修士課程修了 陶芸を中村錦平先生に学ぶ
・1976年 陶豊窯、田辺陶豊氏のもとにて作陶活動を始める
・高知県美術展工芸部門入賞、入選
・1983年 第11回 中日国除内芸展「トルソー」
・1990年 第29回日本現代工芸美術展「萌える」
・1991年 日本現代工芸美術四国会展 高松三越デパート
・1992年「田辺陶豊・橋村るみ二人展」大阪阪急デパート
・1993年「陶芸教室 ねねむ」開設 主宰
・1996年〜1998年「北の風南の風クラフト展」高知市・旭川市
・2002年「橋村るみ・橋村一度現代工芸作品展」
・2008年「やさしい時間作品展」Habitasion 高知市
・2012年 日本現代工芸美術四国会展 四国会会長賞
・2013年 第43回日本現代工芸美術展作品「遠い記憶」四万十市所蔵
・2014年 現代工芸美術展協会本会員
・2022年 第60回記念日本現代工芸美術展「思惟のうまれるところ」
・2023年 橋村一彦・るみ現代工芸陶芸作品展

橋村-彦先生
現代工芸美術家協会 本会員 日展会友
・1947年生
・神奈川大学卒業
・1978年 田辺陶豊(現代工芸美術家協会本会員)のもと橋村るみ(同会員、現本会員)氏に師事
     高知県美術展工芸部門 入賞、入選
・1998年 第37回 日本現代工芸美術展「想」
・1998年 日本現代工芸美術四国会展 高松三越デパート
・2000年 日本現代工芸美術四国会展 奨励賞(同08年)
・2002年 Fuji 国際ビエンナーレ展(同04年)
・2002年「橋村るみ・橋村一彦 現代工芸作品展」
・2005年第37回 日展「想」
・2013年 第50回日本現代工芸美術展作品「自我なるものへ」四万十市所蔵
     第37回 日展作品「想」四万十市所蔵
第41回 日展作品「想」土佐清水市所蔵
・2019年 現代工芸美術家協会本会員
・2021年第8回日展「不連続の連続」(8回目入選)
・2022年 日展会友 第60回記念日本現代工芸美術展 現代工芸本会員賞
・2022年 第9回日展「不連続の連続一内発的欲求一」
・2023年 橋村一彦・るみ現代工芸陶芸作品展

陶・アトリエ ねねむ
〒787-0008 高知県 四万十市 安並 1740-2 TEL 0880-34-4408